<どの学校を受けるべき?> 適性検査内容を徹底比較!

公立中高一貫受検では、学校によって出る問題がまったく異なります。
また、適性検査Ⅰ~Ⅲに対する配点割合も異なります。
→自分の得意な科目の割合を大きくとっている学校を選ぶべきし!

ここでは都内の5校を例にあげて、適性検査の内容を比較してみます。
ぜひ、自分の実力が発揮できる学校を見つけてください。

実例① 都立白鴎

※以下の白鷗受験情報は2023年2月3日受検時点のものです。
 白鷗は2024年度より受検内容を大きく変えているため、十分ご注意ください。
<適性検査Ⅰ>
完全独自作成問題。
都内公立中高一貫校で最難関を誇る文系問題を自作します。
適性検査の全体得点のうち、30%です。

<適性検査Ⅱ>
共同作成問題。差し替えはありません。
適性検査の全体得点のうち、30%です。

適性検査Ⅲ>
完全独自作成問題。
数的論理能力を図る理数系問題を自作します。
例年、理科分野に触れた内容が出題されますが、理科の知識は必要ありません。
適性検査の全体得点のうち、20%です。

まとめ

白鴎はとにかく文系に自信がある生徒に人気が高い学校です。
適性検査Ⅰをかなり難しいレベルに独自作成しているだけでなく、その割合は全体の三割。

逆に言えば、文系が苦手な人は、かなりハンデを背負って受検せざるを得ません。

このような背景から、白鴎には文系が得意な子どもの受験が集中しましたが、
結果として理系が苦手な子どもの逃げ道になったという見方もありました。

その状況に対し、適性検査Ⅲで理数問題の独自作成を始めたことで、
現在は”文系はもちろんだけど理系も必要” が白鴎の常識になりつつあります。

実例② 都立小石川

<適性検査Ⅰ>
共同作成問題。差し替えはありません。
適性検査の全体得点のうち、25%です。

<適性検査Ⅱ>
大問二のみ独自作成問題。
社会分野に触れた統計・数的処理能力が問われます。
適性検査の全体得点のうち、25%です。

<適性検査Ⅲ>
完全独自作成問題。
都内最難関を誇る理数系問題を自作します。
例年、大問1で理科 大問2で算数 が出題されます。
適性検査の全体得点のうち、25%です。

まとめ

前述の白鴎とは反対に
小石川は理数系に自信がある生徒に人気が高い学校です。

独自作成している全問題が理数系の能力を問うことから考えても
学校自体そうした生徒を歓迎していることがわかります。

特に適性検査Ⅲの独自問題は、自然科学への発想を求める問題も多いため
教科書学習だけでは受かりえない
The 理系の世界を展開しています。

一方で各適性検査の点数割合がすべて同じであることから
共同作成レベルなんだから
適性検査Ⅰ(文系)も無難にこなしてね
という無言のメッセージが読み取れます。

”理数系に突出してくれるのは嬉しいけど、それだけじゃだめ”
このオールマイティな力が小石川を突破するカギになっています。

実例③ 都立桜修館

適性検査Ⅰ
完全独自作成問題。
都内公立中高一貫校でも極めて特徴的な文系問題を自作します。
他校よりも圧倒的に多い500字~600字の作文と、柔軟な発想力の双方が求められます。
適性検査の全体得点のうち、20%です。

<適性検査Ⅱ>
大問一のみ独自作成問題。
例年、全体的に算数能力を問う構成になっています。
適性検査の全体得点のうち、50%です。

まとめ

小学校では、いわゆる優等生。目標に向かってコツコツ努力することを厭わない。
桜修館はそんな子に向いています。理由は以下の通りです。

  1. オリジナリティの高い適性検査Ⅰ
  2. 全体得点の半分を占める適性検査Ⅱ
  3. 都内全校の中で最も高い内申評価

わかりやすく言ってしまえば、独自作成の割合が非常に高いため、
桜修館で点を取るための勉強をしっかりしておかないと対応できないのです。

また、内申を都内でも最も高い水準で評価するため、受検生も必然的に内申に自信がある子が集まります。
桜修館は学力だけでなく、規律をしっかり守る模範的な学生を求めているといってよいでしょう。

実例④ 都立三鷹

適性検査Ⅰ
完全独自作成問題。
論説、物語、詩、と幅広いジャンルへの対応力が求められます。
また、他校よりも圧倒的に短い200字程度の文量でまとめきる能力も必要とします。
適性検査の全体得点のうち、30%です。

<適性検査Ⅱ>
大問一のみ独自作成問題。
例年、全体的に算数能力を問う構成になっています。
適性検査の全体得点のうち、50%です。

まとめ

一見すると、前述の桜修館と似た構成に見せますが、実際には全く異なります

特に適性検査Ⅰの200字作文は、多くの受検生の最大の敵です。
実は作文は、短い字数であればあるほど説得力を持たせるのが難しいのです。

これに加え三鷹では、他校で滅多に見かけない物語や詩など、文学的な文章も頻出です。
また適性検査Ⅱでは単元ばかりか
難易度もまばらな問題が混成されています。

以上のことから三鷹で大切なのは
幅広い対応力と推察力、要点をしっかりとまとめる力


少々雑な言い方になりますが
感覚的にポンポンと答えを出せる子がポテンシャルを発揮できる学校です。

三鷹は人気が高まり続け、2023年入試では男女ともに都立中高一貫校トップの人気校となりました。
この高倍率と戦っていけるメンタリティも求められると言ってよいでしょう。

実例⑤ 都立富士

<適性検査Ⅰ>
共同作成問題。差し替えはありません。
適性検査の全体得点のうち、20%です。

<適性検査Ⅱ>
共同作成問題。差し替えはありません。
適性検査の全体得点のうち、20%です。

適性検査Ⅲ>
完全独自作成問題。
資料や文章から読み取ったことを土台に数的論理能力を図る理数系問題を自作します。
問題内容自体は算数ですが問題文が長く
「何を問われているのか」を読み取れることを前提とした総合的な学力検査です。
適性検査の全体得点のうち、30%です。

まとめ

富士を受検する上で重要なのは、内申評価の高さです。
都内最高位の内申評価(全体得点の30%)をするため、学校成績のよい子の戦いになることを覚悟してください。
内申が厳しいとなると、適性検査で相当な点数を取ることが必要となります。

富士は適性検査Ⅰ、Ⅱともに共同作成問題のため「学校独自のクセがない」問題で受検できます。
ただ、完全独自作成される適性検査Ⅲが理数系問題であるため、やや理系向きの子が有利と言えます。
とはいえ適性検査Ⅲでも「問題内容を読み取る力」が前提となるため総合的な学力が要求されます。

以上の観点から個人的な経験も含め、特にオールマイティなお子様に薦めたい学校です。
内申で自己アピールができるなら、共同作成問題にしっかり対策を進めることで合格が狙えます。

内申評価の高さから桜修館と比較されることが多いですが、
桜修館のようなクセの強い独自作成問題が適性検査Ⅰに出されないため
基本的な読解・作文力がついていれば十分勝負できるところが大きな違いと言えます。

余談ですが、「受検」というものを戦略的に考えると富士にはもう一つ嬉しい点があります。
「共同作成問題」というつぶしの効く問題内容がメインであることで、
志望校が決まり切っていないご家庭でも勉強を進めやすい点です。
独自作成問題への対策と異なり、志望校の変更を視野に入れやすい受験勉強ができるのはメリットと言えるでしょう。

実例⑥ 南多摩

適性検査Ⅰ
完全独自作成問題。
説明文を中心とした独自作成の読解問題と作文が出題されます。
例年、記述問題二題+400~500字作文という構成ですが
読解文が一題のときもあれば二題のときもあり、また条件内容や制限内容も年度によって大きく異なります。
比較的自由な発想力を求める作文が多いため、付け焼刃の定型文型作文対策では通用しない学校です。
適性検査の全体得点のうち、約30%です。

<適性検査Ⅱ>
共同作成問題
すべて共通問題を採用した構成で、独自作成問題はありません。
適性検査の全体得点のうち約50%と割合は大きいですが
独自作成がないため決して私立中受験レベルの問題やクセが強い問題が出るわけではありません。
共同作成の適Ⅱ攻略をしっかり意識して学習すれば対応可能です。

まとめ

南多摩は内申評価が全体の20%と、全校中でも最も低い水準です。
もちろん内申はあるに越したことはありませんから軽視はできませんが
それ以上に当日点(学力)が重視されています。

特に完全独自作成問題が出る適性検査Ⅰ(国語)は
「The 適性検査」を地で行く読解と作文問題が出題されます。
作文は発想力や独自性が必要な内容であることが多いため、
私立型入試に要求されるような国語力だけでは通用しません

適性検査Ⅱがすべて共同作成から出題されることもあり、南多摩の鍵は適Ⅰと言ってよいでしょう。
当日点で若干の内申ハンデも跳ね返しやすい学校ですので
独自の視点から鋭い作文を書ける文系タイプの子にはとても適性のある学校です。

実例⑦ 区立九段

<適性検査Ⅰ>
完全独自作成問題。
問題数、ジャンルの幅広さ、記述量の多さ、どれをとっても他校に類を見ません。
作文も短くまとめ切る能力を必要とし、短い時間の中で手際よく、正確に書いていく必要があります。
全体得点のうち、20%です。

<適性検査Ⅱ>
完全独自作成問題。
基本的には算数と社会が軸ですが
資料分析や時事ネタなど幅広く出題されます。
全体得点のうち、30%です。

適性検査Ⅲ>
完全独自作成問題。
基本的には算数と理科が軸ですが
生物・地学・物理と幅広く出題されます。
全体得点のうち、30%です。

まとめ

九段は都立ではなく区立のため、都内十一校の公立一貫校の中でも極めて特徴的です。
他校では見られない例外のうち、以下では重要なものを列記します。

  • 適性検査問題は全て自校作成
  • 内申に小学四年生の成績が含まれる
  • 区外からの受験倍率は都内で最も高い

九段は例年、他の公立一貫校よりも圧倒的に問題数が多いのですが
ここ数年その問題数はさらに増加しています。

ゆっくりじっくり考えるというよりは
手際よく正確にまとめる力が求められます。
私立第一志望受験の生徒に分があるのもポイントです。

また、九段は非常に人気のある学校で
10倍以上の倍率になる年もありました。
特に女子人気が高く、実力だけではなく倍率の壁も高いことに注意が必要です。

では、圧倒的な学力があれば有利かと言われると必ずしもそうとも言えません。
上述した通り内申に小学校四年生が入るからです。
(その他公立一貫校は五年生と六年生のみ)

四年生のときから内申にキズがなく、完全独自問題への対応力を持ち、倍率の壁を破る
九段への合格には
他校とは全く異なる完全性が必要だと考えてください。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • とても興味深く拝見いたしました。調査書割合の増えた、都立富士の分析も教えていただけませんでしょうか?よろしくお願いいたします。

    • ご要望いただきありがとうございます。
      富士の分析を加えましたので、ご参考にして頂ければ幸いです。
      (コメントに気付くのが遅く、掲載に時間がかかってすみませんでした)

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