公立中高一貫受検とは

このページでは、公立中高一貫受検に関する包括的な説明を目指しました。
文量はかなり多いですが、情報の少ないこの受検の全貌がご理解頂けると思います。
特に、以下のような漠然とした疑問をお持ちの方は、是非ご覧ください。

  •  公立中高一貫校って何?
  •  本当に安いの?
  •  どんな試験
  •  学校ごとの特徴は?
  •  どのくらい難しいの
目次

公立中高一貫校とは

そもそも 「中高一貫校」 ってなんなの?

中学・高校がくっついた、6年教育のことだよ。
今までは私立の学校しか選択肢になかったよね

私立の一貫校と区別して 公立 中高一貫校 なのね!

中高一貫教育の魅力は、なんといっても六年間を前提にした、質の高い教育 です。

より長期の学習内容を計画的に運用できるということは、理想的な教育を実現しやすいということです。

多くの子どもは、中学校三年生で高校受験をするため、
中学の三年間と高校の三年間の教育理念が重なることはありません。

受け持つ先生によっても、生徒の伸ばし方や教え方は違いますから、
子どもは自ずとその時々の先生や学校から受けた影響を混ぜ合わせながら、成長していきます。

少々言葉が雑ですがこれでは
教育効果を予測するのは難しいですよね・・

これに対し、一貫校の場合は六年間という時間が約束されているので
狙った通りの非常に効果的な教育を行うことができます。
早稲田や慶応といった最難関私立校含め、私立である本質はここにあるわけです。

高校受験とか大学受験しなくていいことが
魅力なのかと思ってた・・

受験勉強をしなくていいからこそ
ブレない学習と成長が期待できるよね

受検の費用

一貫校の強みはわかったけど、
ぶっちゃけ「公立」だとなにがいいの?

ぶっちゃけ安いです!
進学実績もスゴイ!!

公立中高一貫校は、最上位私立校と比べても遜色のない質の高い授業と大学進学実績を誇ります。
にもかかわらず授業料は私立の3分の1程度。
この意味で、「コストパフォーマンス」は大きな魅力です。

ただし、それはあくまで入学後の話。
受検=塾 と考える場合、どうしても受検に必要なコストは大きくなります。

塾は結構かかるよね・・・

とはいえ、子どもの成長と未来のためと考えれば先行投資は必要です。

公立中高一貫受検で合格してしまえば、高校受験はありません。
どこかでは塾に通って受験生をやらなければいけないなら
それが小学6年生というのはアリですよね。

どうせ中3でお金かかるなら、ここでいい学校に行ってもらおう!

ただし、気をつけたいのは
塾に行く=合格 ではないこと!!

また、塾だけが受検の選択肢ではないことも挙げられます。
是非いろいろな選択肢を知って後悔のない受検にしてくださいね!

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適性検査

公立中高一貫受検はふつうの入試じゃないの?

ふつうの学力試験じゃないよ
適性検査というテストになります

どう違うの?

「考える力」や「伝える力
を重視するんだよ

公立中高一貫受検で最も特徴的なのが、適性検査です。

従来の私立入試が
知識を詰め込み問題に正しく解答する
ことを重視する一方、

公立中高一貫受検の適性検査は
論理的に思考し相手に自分の考えを伝える
ことを重視します。

また、受験科目も国語や算数といった教科名ではなく
適性検査ⅠやⅡという名称で広い範囲を問うものになります。

ⅠとかⅡと言われてもあれなので
ざっくりまとめるとこんな感じ!


  • 適性検査Ⅰ
    主に国語の能力を問います。 ※作文が6割前後
  • 適性検査Ⅱ
    主に算数と理科と社会の総合的な能力を問います。
  • 適性検査Ⅲ
    学校が特に求める能力を問います。

適性検査は学校によって大きく異なります。

適性検査ⅠとⅡには東京都が作るベーシックな入試問題があります(共同作成問題)が
多くの学校はその一部あるいは全てを独自問題に差し替えます。

また東京東部の学校では適性検査Ⅲまで追加する傾向があります。
その場合、学校が大切にしている力を測る完全独自の問題になります。
(理系が強い子がほしい→算数+理科の思考問題 など)


ようするに学校ごとに問題の傾向が全然違うってことね

自分の得意と学校の出題傾向がかみ合わない
なんてことのないように!


ただ、全校共通して適性検査Ⅰは国語です。

見て頂いてわかる通り適性検査Ⅰだけは国語のみの教科範囲となっており
他の適性検査とは大きく異なります。

また、作文はもちろん適性検査Ⅱや適性検査Ⅲでも
記述問題が多いのも公立中高一貫受検の特徴です。

どこを受けるにしても「書くこと」からは逃げられないので
記述への苦手意識はしっかり払拭しましょう!

<Point>
①適性検査は知識ではなく思考力
②どの問題でも記述力は必須
適性Ⅰ=国語(作文)
 適性Ⅱ(Ⅲ)=算理社  ※学校によって傾向は大きく異なる

子どものタイプにあった受検校選択が大切!

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内申評価制度

なんとなく適性検査の仕組みはわかったよ。
つまり、このテストで点数をとれば受かるんだよね?

残念ながらそうとも言い切れない・・・
実は、適性検査の点数だけでなく、
内申も重要なんだ。

内申??

報告書や調査書とも言うよ。
つまり、小学校の成績だね!

公立中高一貫受検を初めて知った方の多くが驚かれるのが、内申評価制度です。
内申とは小学校の成績のことです。

基本的には、小学5年生と6年生の通知表が受検校に送られ、点数化されます。
(区立九段の場合はさらに小学4年生も含みます!)


ここでドキッとされる方はぜひ、内申という観点からの学校選びもアリです。
なぜなら内申をどれだけ重視するかも学校によって異なるからです。

内申にこれといった特徴がなければ得意科目から学校を選ぶべきです。

その一方で
①勉強はできるけど内申にキズが・・
②内申は完璧だけど本番に弱い・・

というような内申に特徴がある場合はぜひその視点からの学校選びも考えてみてください。

ちなみに、公立中高一貫受検に合格する子の一般的な内申は
「できる」が2~3科目 というところでしょうか。

<Point>
小学5年生と6年生の通知表が点数化される (九段のみ4年生も含む)
②内申の評価の仕方・割合は学校によって異なる
「できる」は二科目くらいを目安に。

・・・内申は高いに越したことはない 早いうちから意識しよう!

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公立中高一貫受検の難易度

で、ぶっちゃけ難しいの?

うーん・・
難しいけど難しくない!

公立中高一貫受検は簡単な受検ではありません。
私立受験に比べても、高校や大学入試と比べてもトップクラスで難しいのが事実です。

具体的な数字で表すとこんな感じです。

偏差値: 58~65   (四谷大塚の偏差値基準より概算)

倍 率: 5~7倍  (東京都教育委員会発表より概算)


いまいちピンとこないなあ

偏差値的にはG-MARCHレベル
合格率は15~20%だよ

公立中高一貫校は現在都内に11校ありますが
偏差値的にはG-MARCHと同等以上です。

それどころか
小石川や武蔵などは早慶付属レベルの偏差値になってきています。

また公立中高一貫校入試を難しくしているのは
偏差値以上に倍率です。

たとえばG-MARCHの付属中学入試(2/1)の倍率は
高くても3倍程度です。
※2021年度のG-MARCH(2/1)で最も倍率が高かったのは
 中央大学付属中の3.54倍でした

倍率では公立中高一貫校のほうが圧倒的に高いわけです。

つまり
G-MARCHより難しいってこと?

一概にそうとは言えないかな
公立中高一貫は適性検査だから!

公立中高一貫受検の特徴といえば適性検査です。

先にも述べた通り「考える力をみるテスト」でしたよね。

したがって、難しいとは言っても
私立入試のように知識を詰め込む勉強は必要ないのです。

論理的に考える力や書く力があれば
塾に通わずに受かってしまう子がいるのも事実です。

塾に通わず、教科書の内容暗記もせずに
G-MARHCHにの付属中に受かることは不可能といえます。

つまり入試問題は
G-MARCHより簡単ってこと?

そういうこと!
G-MARCHよりも
圧倒的に少ない知識で
可能性がある入試だよ

<Point>
①公立中高一貫校の偏差値はG-MARCHレベル
②試験問題の難易度は私立ほど高くない
③誰にでもチャンスがあるため倍率は高い

難しいのは事実!
でも 「難しい=受からない」 ではない!

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受検のその後

考えたくないけど
落ちてしまったらどうなるんだろう・・

5倍という倍率だから
当然ありえるよね

どんな中学に進学するの?
高校入試は?

残念なことではありますが
「5人受けたら4人落ちる」
というのが今の公立一貫校を取り巻く現実です。

不合格になってしまう子のほうが圧倒的に多いのですから
当然恥じるようなことではありません。
(逃げ場のない入試にならないのがポイント)

不合格になった場合
進学先として一番多いのは地元の公立中学です。

経験上、8割~9割は地元公立に進みます。

ほとんどの子が地元の中学に
ふつうに通うんだね。
残りの1~2割は?

併願合格していた
私立中学に進むよ

私立に受からなかった子が
公立に進むってことなのかな

私立に受かってても
公立に進む子が多いんだ

多くの子は第一志望の一貫校(2/3)のほかに
練習として私立を併願します(2/1)。

この私立併願校は第一志望校ほどは難しくないため
合格することが多いです。

が、実際にはほとんどの子が私立には進みません。

理由は大きく2つあります。

  • 私立は学費が高いため
  • 地元中学から高校受験でリベンジするため

特に多いのは高校リベンジを果たすためです。

実は公立中高一貫校受検で不合格になってしまった子は
高校入試で大きく巻き返すことが非常に多いです。

本人たちの悔しさはもちろん、
一年間の受検勉強で培った土台がありますから
早いうちから高校入試を意識することができるのです。

中学一年生のときから
「○○中学より高い偏差値の高校に行ってリベンジしてやる」
と闘志をたぎらせることができるのは
小学校6年生で受検に挑んだからこそですよね。

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最後に

公立中高一貫校の魅力はなんといっても適性検査型の入試です。

従来の暗記型学習ではないからこそ、
入試の内容も受検勉強に打ち込む一年間も
子どもの考える力を大きく伸ばしてくれます。

覚えることよりも考えることを重視することで
「勉強はたのしい」と知れることは何にも代えがたい財産です。

一方で、公立中高一貫校の人気は年々高まりを見せており
受検の難易度はあがってきています。

先にも紹介した「5倍」という倍率は
受験業界全般から見ても驚異的な数字です。

例えばあなたがある試験に挑むとして、
調べてみたら合格率が15%~20%だったとしたら
どのように感じるでしょうか。

しかも受けられるのは人生で一回だけです。

正直な話、
私にはかなり理不尽な試験のように思われます。

これから子どもが立ち向かうのは
そんな入試です。

入試である以上、合格は当然の目標です。


しかし結果ありきでこの入試を考えるは
かなり危険なことだという事実認識をもっていただければ幸いです。

そのうえで親御さんにお願いしたいことは
適性検査の問題を解いていただくことです。

この入試を通して
どんな力が得られると思うか
想像していただきたいのです。

そして
11歳や12歳という年齢で
過酷な受検に挑むことが
お子様にとってどんな意味を持つか
考えて頂きたいのです。

そこにはこの適性検査型入試だからこそ思い描ける
子どもの成長があると思います。

もしそう思われたのであれば、
この受検は子どもの成長を裏切りません。

公立中高一貫校と適性検査型入試のいちファンとして
一人も多くのお子様とご家庭が
価値ある受検をされることを願っております。


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